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河合榮治郎の社会思想体系―マルクス主義とファシズムを超えて

河合榮治郎の社会思想体系

  • 青木育志/2011年6月
  • 3800円(本体)/A5判・上製・370頁
  • 装丁:矢萩多聞

「思想というのは季節が変わって取り替えるような衣服とは違う」
戦前・戦中に左右両翼からの批判と攻撃を受けながらも,人格主義と理想主義にもとづく「第三期自由主義」を唱えつづけた思想家の再評価をうながす。
(ISBN 9784861102721)

目次│indexs

第1章 人格主義哲学の提唱
第1節 河合榮治郎と哲学
第2節 人格主義の提唱
第3節 哲学体系論の提唱
第2章 自由主義の研究
第1節 社会思想史の研究(Ⅰ)
第2節 社会思想史の研究(Ⅱ)
第3節 自由主義段階論
第4節 自由主義の理論
第5節 大学の自由・転落論争
第3章 「第三期自由主義」の提唱
第1節 社会政策学の研究
第2節 イギリス社会主義の研究
第3節 民主的社会主義の提唱
第4節 「第三期自由主義」の提唱
第5節 多元的国家論の研究と提唱
第4章 マルクス主義の批判
第1節 マルクス主義の研究
第2節 マルクス主義理論の批判―マルクス主義の内在的批判―
第3節 マルクス主義行動の批判―マルクス主義の外在的批判―
第4節 学生の左翼思想問題
第5節 日本自由主義論争
第5章 ファシズムの批判
第1節 ファシズムの分析
第2節 ファシズムの批判
第3節 五・一五事件の批判
第4節 二・二六事件の批判(Ⅰ)
第5節 二・二六事件の批判(Ⅱ)
第6節 大学の自治の擁護
第6章 国際時局の評論
第1節 河合榮治郎と戦争論
第2節 満洲事変の評論
第3節 日中戦争の評論
第4節 太平洋戦争の評論
第7章 河合思想の意義
第1節 河合思想の形式的意義(Ⅰ)
第2節 河合思想の形式的意義(Ⅱ)
第3節 河合思想の内容的意義

著者│author

青木育志(あおき・いくし)
青木育志(あおき・いくし)
1947年 大阪に生まれる
1971年 大阪市立大学法学部卒業
1971年 株式会社大丸に入社
1999年 亜細亜証券印刷株式会社(現株式会社プロネクサス)に入社
2009年 同社を退社
著書
『客観主義と主観主義―哲学の根本問題』(自費出版1989年)
『河合栄治郎文献目録』(河合栄治郎研究会1994年)
『自由主義とは何か―その政治的、経済的、哲学的原理』(新風舎2004年)
『弁論術の復興―欧米的議論術の修得と教育の必要性について』(青木嵩山堂2008年)
「新自由主義」をぶっ壊す』(春風社2010年)
主要論文
「新渡戸稲造と河合栄治郎」『新渡戸稲造研究』第5号(1996年9月発行)
「青木嵩山堂の出版活動」吉川登編『近代大阪の出版』(創元社2010年)
所属学会
イギリス理想主義研究会、河合栄治郎研究会、日本出版学会

著者サイト 「青木育志の書斎」

著者からのコメント│author’s comments

戦前の社会思想史学者、社会思想家、教養主義教育家の河合榮治郎(東京帝大経済学部教授、1891-1944)が今脚光を浴びつつある。大正デモクラシーの後、学界、思想界に入った河合はイギリス流の「第三期自由主義」を唱え、マルクス主義とファシズムに反対した。マルクス主義全盛期にマルクス主義を批判し、ファシズム全盛期にファシズムを批判した。それがために両勢力から批判された。

河合生前には河合思想は世に受け入れられなかったが、その後はどうなったであろうか。第二次世界大戦後はファシズムは姿を消し、二十世紀最後にはソ連・東欧の崩壊によって、マルクス主義も勢いを削がれることになった。そして二十一世紀初頭には自由主義の一分派でありリバータリアニズムも崩壊した。そして残るのは自由主義の主流たるヨーロッパの福祉国家、アメリカのリベラリズムであった。これは河合が唱えた「第三期自由主義」の現代版であった。永遠の歴史の観点からは、河合の先見性が際立つのである。

本書で河合の社会思想を読み解く角度としては七つを用意している。それは本書の構成にもなっていて、第1章「人格主義哲学の提唱」、第2章「自由主義の研究」、第3章「“第三期自由主義”の提唱」、第4章「マルクス主義の批判」、第5章「ファシズムの批判」、第6章「国際時局の評論」、第7章「河合思想の意義」がそれである。

その河合思想の特徴で本書が強調したことは次のとおりである。第一に、従来は河合の哲学的側面は重視されてこなかったが、本書ではその哲学的側面を重視する。河合思想の特徴は「哲学に裏づけられた思想」「体系的であること」である。河合は専門の哲学者ではないが、「独自の哲学体系」を持っており、それをもとに各領域の問題解決を唱えたのである。本書ではその思想体系を図解し、それを体系的に把握できるようにしている。日本に哲学者は多いが、哲学を自己のものとして思索した者は少ない。河合はその数少ない思想家である。

第二に、従来は「戦闘的自由主義」のみが強調されていたが、本書では「借り着でない思想」「主義に命を賭する」「信念の思想家」「知的勇気の持ち主」を強調する。それであるからこそ、二・二六事件を批判した唯一の知識人となりえたのである。その姿勢はラムゼー・マクドナルド、バートランド・ラッセルや大塩平八郎、吉田松陰などと相通じるところがある。

第三は、従来は自由主義の「三段階論」を唱えたことが強調されていたが、本書ではそれに関しては河合は二説を唱えていて、河合の真意からすれば「四段階説」が正しかったのではないか、と提示する。河合の自由主義段階論の解釈は修正を要する、とする。

第四は、従来は平常時の「自由主義」と戦争時の「戦争追従主義」の矛盾が指摘されていたが、本書においては「多元的国家論」の自然な解釈として、戦争時における国家への協力(「愛国主義」)が出てくる、とする。太平洋戦争時の河合の評論は愛国主義的なものとして再評価が必要である。

閉塞感が漂う今日の日本では、未来を切り開く新機軸の思想が今こそ必要である。河合榮治郎の思想はそれに応えてくれるであろう。

 

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