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教養主義者・河合榮治郎

教養主義者・河合榮治郎

  • 青木育志/2012年8月
  • 3000円(本体)/A5判上製304頁
  • 装丁:矢萩多聞

教養とは雄々しく惨(いた)ましい人生の戦いである―
学問論・認識論から職業論・恋愛論まで、思想家にして稀有の教育家でもあった河合をさまざまな角度から照らし出し、人格主義を根幹に据える「教養」の意義をあらためて問いなおす。
(ISBN 9784861103209)

目次|indexs

はじめに―「教養」と「昭和教養主義」とは何か
第1章 哲学者
第1節 教養主義
第2節 学問論
第3節 認識論
第4節 道徳哲学
第5節 芸術・宗教論
第6節 比較文化論
第2章 大学教授―大学教育を通して
第1節 大学教育論
第2節 講義と試験
第3節 ゼミナール
第4節 古典研究会
第5節 面会日と学生相談
第6節 師弟論
第3章 社会教育家―出版活動を通して
第1節 『学生叢書』の出版
第2節 『教養文献解説』の出版
第3節 『学生に与う』の出版
第4章 知的生活論者
第1節 知的生活論
第2節 書斎論
第3節 読書・思索論
第4節 討論・執筆論
第5章 人生論者
第1節 日常生活論
第2節 修養論
第3節 職業論
第4節 親子・友情論
第5節 恋愛・結婚論
第6節 同胞愛・社会論

著者|author

青木育志(あおき・いくし)
1947年 大阪に生まれる
1971年 大阪市立大学法学部卒業
1971年 株式会社大丸に入社
1999年 亜細亜証券印刷株式会社(現株式会社プロネクサス)に入社
2009年 同社を退社
著書
『客観主義と主観主義―哲学の根本問題』(自費出版1989年)
『河合栄治郎文献目録』(河合栄治郎研究会1994年)
『自由主義とは何か―その政治的、経済的、哲学的原理』(新風舎2004年)
『弁論術の復興―欧米的議論術の修得と教育の必要性について』(青木嵩山堂2008年)
「新自由主義」をぶっ壊す』(春風社2010年)
河合榮治郎の社会思想体系―マルクス主義とファシズムを超えて』(春風社2011年)
主要論文
「新渡戸稲造と河合栄治郎」『新渡戸稲造研究』第5号(1996年9月発行)
「青木嵩山堂の出版活動」吉川登編『近代大阪の出版』(創元社2010年)
所属学会
イギリス理想主義研究会
河合栄治郎研究会
日本出版学会

著者サイト 「青木育志の書斎」

著者からのコメント│author’s comments

今、読書界、出版界では、「教養主義の没落」ということが言われている。これは社会学者の竹内洋氏の同名の書(中公新書、2003年)がブレークすることによって、言われ出した。これによると、1970年を境に、学生は本を読まなくなり、本は売れず、さらにはIT技術の発達により、携帯電話やインターネットの発達により、知的生活のやり方も大きく変わってしまった。ここに知性や教養や学力が低下しているのではないか、さらには学問を尊ぶという生き方と思想がなくなってしまったのではないか、という危惧や懸念が渦巻いているのである。

こういうときこそ、かつての日本の教養主義に思いをいたすときである。教養主義とはお茶やお花や名画や名曲に親しむことではない。古典と呼ばれる書物を読み、学問するという姿勢を尊重し、そういうことで人間の質を高めていくことである。明治以降、教養主義が高揚したときが二度ばかりある。一つは大正教養主義であり、阿部次郎の『三太郎の日記』や倉田百三の『愛と認識との出発』が学生の聖典であった。もう一つは昭和戦前の昭和教養主義である。河合榮治郎編集の『学生叢書』と同著の『学生に与う』が中心であった。

本書は昭和教養主義の代表者・河合榮治郎(東京帝大経済学部教授、1891-1944)の教養主義における活動を体系的に解き明かしている。河合の活動は他に社会思想面の活動があり、それについては著者は別の書『河合榮治郎の社会思想体系』を著している。本書においては、河合の哲学者としての面(第1章)、大学教授としての面(第2章)、社会教育家としての面(第3章)、知的生活論者としての面(第4章)、人生論者としての面(第5章)を取り扱っている。

大学においては、河合はゼミナールにおいて学問の基礎を学生に厳しく教え鍛え、面会日において学生の人生相談にやさしく付き合い、古典研究会を組織し、古典研究の重要さを訴えた。大学外においては、河合は全12巻の『学生叢書』を編集出版し、『教養文献解説』を発行し、さらに『学生に与う』を出版した。大学の内外における活躍によって、学生はいかなる心構えで、学問と人生に立ち向かうべきか、そのためにどういう本を読まねばならないか、を学生に対して説いたのである。

河合が大学の内外で説いた内容は大きく分けて二つある。一つは知的生活論である。それはどういう心構えで学問に対するかというものであり、具体的には書斎論、読書論、思索論、討論論、執筆論などである。もう一つは人生論である。それはどういう心構えでこれからの人生をわたっていくべきかというものであり、具体的には日常生活論、修養論、職業論、友情論、恋愛論、社会論などである。

河合は学生を相手に教養主義を説いたのであるが、河合の書とその思想は学生のみならず、学問、芸術、道徳を考えることによって、人生を真剣に生きたいと思う社会人にとっても、福音となるはずである。教養主義が没落している今日こそ、我々が何を頼りに生きようかと迷う今日こそ、昭和教養主義の叡智に学ぶべきであり、本書はそれに応えてくれるであろう。

 

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