近代日本におけるイスラームの転回―漂泊する知の考古学

近代日本におけるイスラームの転回

漂泊する知の考古学

  • 黒田賢治(著)/2025年12月
  • 4300円(本体)/A5判上並製336頁
  • 装画:Nina

イスラームという信仰は、この国でいつ発見され、どのように理解されてきたのだろうか。西洋と中国という経路によってもたらされ、仏教やアジア主義といったフィルターを通して変容し、やがてその一部は忘れ去られていった、知の系譜を掘り起こす試み。
新井白石による「マァゴメタン」の発見、文久遣欧使節団の「仏像」なきモスク体験、「怪傑マホメツト」像の創造、山岡光太郎に先立つ中島裁之の「メッカ」視察談の謎、そして大正三年の「巡礼船事業」……
日本はどのようにして、独自のイスラーム観を形成してきたのか。

(ISBN 9784868160700)

目次|contents

序章
第一章 イスラームの発見とサムライたちの教養
第二章 幕末日本におけるイスラームとの邂逅——文久遣欧使節団の記述より
第三章 西洋への眼差しのなかのイスラーム
第四章 明治日本のイスラーム――外来知識の咀嚼と帝国の戦略
第五章 翻訳時代のムハンマドの小伝と知の共鳴
第六章 明治期後期のイスラームをめぐる知の展開と系譜――ムハンマドの伝記とその資料
第六章補論 聖典クルアーン研究の先駆者藤田季荘
第七章 一九〇七年の中島裁之の世界旅行と「メッカ」視察談——日本初のマッカ訪問者をめぐって
第八章 近代日本とイスラーム世界の関係再考――大正三年巡礼船事業を中心に
終章

あとがき
参考文献
索引

著者|author

黒田賢治(くろだ・けんじ)
1982年奈良県生まれ。2011年京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科修了。博士(地域研究)。人間文化研究機構 総合人間文化研究推進センター研究員、国立民族学博物館助教などを経て、25年9月より国立民族学博物館グローバル現象研究部准教授。
専門は中東地域研究、イスラーム研究、文化人類学。

著書に『イランにおける宗教と国家――現代シーア派の実相』(2015年、ナカニシヤ出版)、『戦争の記憶と国家――帰還兵が見た殉教と忘却の現代イラン』(2021年、世界思想社、国際宗教研究所賞奨励賞受賞)、『現代イラン史――イスラーム革命から核問題、対イスラエル戦争まで』(2025年、中央公論新社)などがある。共著に『大学生・社会人のためのイスラーム講座』(2018年、ナカニシヤ出版)、『「サトコとナダ」から考えるイスラム入門』(2020年、星海社)など。

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生成AI×ロボティクス【AAA叢書第2巻】

生成AI×ロボティクス

    • 中村靖子(監修)、南谷奉良(編)/2025年8月
    • 4000円(本体)/A5判並製286頁
    • 装丁:矢萩多聞

AI・ロボットと人間が共生する世界の未来像はどのように描けるか?
研究プロジェクト「人間・社会・自然の来歴と未来―「人新世」における人間性の根本を問う」(Anthropocenic Actors and Agency in Humanity, Society, and Nature,略称:AAA)の成果を発信する叢書シリーズ、第2巻!
科学技術と伝統的人文学とをつなげ,新たな人文学を確立する試み。
(ISBN  9784868160830)

AAA叢書 各巻の構成(第2巻以降は予定)
第1巻(2025)ことば×データサイエンス
第2巻(2025)生成AI×ロボティクス
第3巻(2026)Anthropocene calling
第4巻(2026)ジェンダーとセクシュアリティ
第5巻(2027)社会と政治の科学
第6巻(2028)〈他者・自然との柔らかな均衡〉に向けて

目次|contents

叢書刊行によせて〔中村靖子〕
はじめに〔南谷奉良〕
第1部 来たるべきAI・ロボットとの共生世界に向けて
第1章 言葉を扱うロボットと人工知能―実世界に根ざした言葉の獲得と利用〔宮澤和貴〕
第2章 AI・ロボット・我々―メタサピエンス社会の到来にむけて〔長滝祥司,橋本敬〕
第3章 自らの意志を語る(騙る)人工的な知性への備え―作ろうとすることでわかること〔金野武司〕
第4章 ヒトとロボット・AIの“主体的”な共生に向けて〔池田慎之介〕
コラム1 チェックリスト式AI倫理を超えて〔ソニア・ユーフイ・ザン〕
第2部 社会のなかの生成AI・ロボット
第5章 性格特性の進化―LLM集団における協力行動の生成と崩壊〔鈴木麗璽,有田隆也〕
第6章 生成AIがメンタルヘルスケアにもたらす可能性―対話エージェントとしての活用に着目して〔麻植義喜,山本哲也〕
第7章 現実に侵食する人工物―背景世界、偶像、そして日常生活への回帰〔高橋英之,大道麻由〕
第8章 感情を持つロボット―感情理解への構成論的アプローチ〔日永田智絵〕
コラム2 生成AIとフリーミアム問題―新しいデジタルデバイド〔南谷奉良〕
第3部 AIロボットと文学作品―触覚・言葉・痛みから
第9章 分断を告げる身体―触覚から読むカズオ・イシグロ『クララとお日さま』〔肖軼群〕
第10章 『クララとお日さま』における“女ことば”の分析〔和泉悠〕
第11章 “Okay, AF. We same side”―置き換え・代替可能性からみる『クララとお日さま』の特別な言葉〔南谷奉良〕
コラム3 人間と機械の環世界〔葉柳朝佳音〕
あとがき―〈信じられない未来〉に向けて〔南谷奉良〕
執筆者紹介

監修者・編者|supervisor & editor

中村靖子(なかむら・やすこ)
名古屋大学大学院人文学研究科附属人文知共創センター教授。専門はドイツ文学・思想史。著作に『予測と創発―理知と感情の人文学』(編著、春風社、2022)、『非在の場を拓く―文学が紡ぐ科学の歴史』(編著、春風社、2019)、『フロイトという症例』(松籟社、2011)等。

南谷奉良(みなみたに・よしみ)
京都大学大学院文学研究科准教授。専門は英語圏文学、アイルランド文学。

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時のかたみに―キリスト教と文学・師・信仰

時のかたみに

キリスト教と文学・師・信仰

  • 釘宮明美(著)/2025年7月
  • 2800円(本体)/四六判並製404頁
  • 装丁:毛利一枝

信仰に根ざしひたすらに希求する詩と真実
混沌として見えない将来への不安に押し潰されそうであった私の青春時代を省みると、私自身もそのようにして確かに導かれてきたことを感じている。どんな現実も無内容ではあり得ず、必ず意味を有しており、その現実の意味や意義の根源として、創造主である神は確かにいる。「雨も雪も、ひとたび天から降れば、むなしく天に戻ることはない。……そのように、わたしの口から出るわたしの言葉も、むなしくは、わたしのもとに戻らない」(イザヤ55・10-11)。〈本文より〉
(ISBN 9784868160014)

目次|Contents

序詩  湖唱

第一部 光は低きに降りて
一 光は低きに降りて―クリスマスに寄せて
二 クリスマスの手紙
三 クリスマスメッセージ
四 祈りと光
五 だれかがどこかで

第二部 信仰と日々
六 フライブルクでの日々から
七 詩編の祈り
八 信仰のうちに視野を開く
九 一粒の麦―源流をたどる
一〇 神様の落穂拾い―「シャルトル聖パウロ修道女会」の霊性に寄せて
一一 長崎のキリシタン関連遺産を訪ねて
一二 見えない神の言葉に聴く
一三 「ぶどうの木」につながって
一四 言葉と律法―ルターの宗教改革五〇〇年に寄せて
一五 共に歩む道
一六 お別れの言葉―追悼 星野正道神父様

第三部 命を見つめて
一七 いちばん美しかった顔―エピファニーということ
一八 預けられたものとは何か、それをどう生かすか
一九 大震災に問われて―二〇一一年三月一一日に寄せて
二〇 最上のものはなお後に来たる
二一 人生という一冊の本
二二 いのちを刻む絵
二三 人生の終わりの姿から学ぶこと
二四 難病を受け入れて生きる意義とは―「全国CIDPサポートグループ」の活動を通じて

第四部 苦しみの秘義
二五 苦しみの秘義―パスカルの『病の善用を神に求める祈り』
二六 森有正をめぐる人たち―伊藤勝彦先生のこと
二七 時を刻む思想、時に刻まれる思想
二八 傷ついた葦を折ることなく―『パンセ』と聖書における「葦」の比喩
二九 かなしみの源流と水脈―神谷美恵子をめぐる三著作
三〇 神谷美恵子との出会い
三一 治癒の言葉―霜山徳爾『素足の心理療法』に寄せて
三二 V・E・フランクルの信仰―「意味」の根源としての神
三三 ダグ・ハマーショルド『道しるべ』と十字架の聖ヨハネ

第五部 文学をかたわらに
三四 出会いと別離―追悼 田口義弘先生
三五 同人誌と私―『現代文学』七〇号に寄せて
三六 抒情の湿度―追悼 饗庭孝男先生
三七 須賀敦子の信仰と文学―その分岐点と交差点
三八 詩人的実存という罪―文学とキリスト教をめぐって
三九 悲しき悪魔の告白―芥川龍之介「るしへる」をめぐって
四〇 ファウストはなぜ救われるのか?―ゲーテ『ファウスト』
四一 『天の園』・「エデンの園」・「神の国」
四二 祈りと光と再生と―大江健三郎『人生の習慣』
四三 ポルフィーリイとは何者か?―ドストエフスキー『罪と罰』
四四 逆説の福音―書評 芦川進一『カラマーゾフの兄弟論―砕かれし魂の記録』
四五 神を探し求める道―リルケ『時禱詩集』
四六 砂漠の井戸のお話―サン゠テグジュペリ『星の王子さま』
四七 誓願の文学―宮沢賢治『銀河鉄道の夜』
四八 物語が生み出される光源
―書評 A・E・マクグラス『C・S・ルイスの読み方―物語で真実を伝える』
四九 光への信頼―ハンス・カロッサ 〈講座録〉
五〇 鎮魂と変容の歌―ライナー・マリア・リルケ 〈講座録〉
五一 記憶と忘却の痛み―パウル・ツェラン 〈講座録〉
五二 花月の唱名としての生死―西行 〈講座録〉

第六部 思索に導かれて
五三 海原を照らす灯台
五四 キリスト教文化研究所の貴重書『ミーニュ 教父全集』
五五 稲垣良典先生の講演「大学の神学」を拝聴して
五六 意義への問いと人文学研究―キリスト教教育の視点から
五七 キリスト教を主軸とする近代日本精神史の豊饒な展開
―書評 村松晋『近代日本精神史の位相―キリスト教をめぐる思索と経験』
五八 エディット・シュタイン(一)―その生涯のスケッチと全集紹介
五九 エディット・シュタイン(二)―ヴュルツブルクの修道院図書室にて
六〇 エディット・シュタイン(三)―シュパイアーに足跡を訪ねて
六一 真理と愛―書評 須沢かおり『エディット・シュタインの道程―真理への献身』
六二 存在と意義―『クラウス・リーゼンフーバー小著作集』刊行に寄せて
六三 超越への開き―『クラウス・リーゼンフーバー小著作集』全巻刊行を記念して
六四 海外宣教師の日本語著作という遺産―『キリストの現存の経験 クラウス・リーゼンフーバー小著作集VI』刊行に寄せて
六五 クラウス・リーゼンフーバー神父様を追悼して

あとがき

著者|Author

釘宮明美(くぎみや・あけみ)
1968年大分市生まれ。東京大学文学部露語露文学科卒業、同大学院人文社会系研究科日本文化研究専攻修士課程修了。2009年、白百合女子大学宗教科准教授。2015年より同大学カトリック教育センター教授。専門は森有正、神谷美恵子、エディット・シュタインを中心とするキリスト教思想、キリスト教と文学。
共編著『生きる意味―キリスト教への問いかけ』(オリエンス宗教研究所、2017年)、『日常の中の聖性』(教友社、2021年)、『キリスト教文化事典』(丸善出版、2022年)。共著『キリスト教をめぐる近代日本の諸相―響鳴と反撥』(オリエンス宗教研究所、2008年)、Christianity in East and Southeast Asia(Edinburgh University Press, 2020)、『宣教師の日本語文学 研究と目録』(郭南燕編著、勉誠出版、2023年)ほか。編訳書『クラウス・リーゼンフーバー小著作集(全6巻)』(知泉書館、2015年・2021年)。主要論文「森有正における「経験」の生成―『バビロンの流れのほとりにて』連作を中心にして」(「現代文学」62号、2000年)、「神谷美恵子とキリスト教―魂の認識への献身と人間の宗教性」(『文藝別冊 神谷美恵子』河出書房新社、2014年)。

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経験の息吹 異邦の哲学者―西田幾多郎の衝動概念

経験の息吹 異邦の哲学者

西田幾多郎の衝動概念

  • 森野雄介(著)/2025年5月
  • 5000円(本体)/A5判並製472頁
  • 装画:めめんち(作品タイトル「白鷺と瀬戸の海」)
  • 装丁:中本那由子

「日本」「東洋」といった定められた土地に住まう思考ではなく、どこかよくわからない場所から思考するものとしての西田の哲学を根底から問い直す。
(ISBN 9784868160373)

目次|Contents

はじめに
序 論 東でも西でもなく
 はじめに
第I部 西田幾多郎の基本概念――「純粋経験」・「自覚」・「場所」・「絶対無」
第一章 異邦の経験と「純粋経験」――超越論的経験論としての『善の研究』
 第一節 西田とジェイムズの共通点と差異
 第二節 『善の研究』における現在
 本章の結論
第二章 「自覚」
 はじめに
 第一節 「自覚」概念の内実
 第二節 「自覚」と当為、真理の独立性
 第三節 「自覚」における直観と時間
 第四節 自覚における反省と空間
 本章の結論
第三章 感覚する現在――『自覚』におけるヘルマン・コーヘン受容をめぐって
 はじめに
 第一節 『自覚』におけるヘルマン・コーヘンの受容
 第二節 「自覚」における感覚
 本章の結論
第四章 述語とパースペクティヴ――『意識の問題』における場所と衝動
 はじめに
 第一節 『意識の問題』――場としての意識とパースペクティヴ
 第二節 述語としての「於いて」
 第三節 述語的パースペクティヴィズム
 本章の結論
第五章 絶対無の場所、ケルベロス的「もの」――西田幾多郎『働くものから見るものへ』をめぐって
 はじめに
 第一節 田辺元と「絶対無」
 第二節 場所の基本カテゴリー
 第三節 ケルベロス的「もの」
第II部 『無の自覚的限定』
第六章 事実の形而上学、双生の「こと」――西田幾多郎『無の自覚的限定』と大森荘蔵
 はじめに
 第一節 静態的「こと」――大森荘蔵の場合
 第二節 動態的「こと」――西田幾多郎の場合
 結論
第七章 すれちがいと感覚の真理
 第一節 すれちがいと他者の深淵
 第二節 すれちがいと感覚の真理
第III部 後期西田幾多郎と京都学派への批判と考察
第八章 獣道を散歩する―日本哲学における獣の位置づけをめぐって
 はじめに
 第一節 大いなる分割と獣のアナロギア
 第二節 日本哲学における獣の位置づけ
 暫定的な結論
第九章 猫と歴史的世界 あるいはストレンジャーのポイエシス――アンリ・マルディネから西田幾多郎を読み直す
 はじめに
 第一節 アンリ・マルディネのヘーゲル解釈について
 第二節 後期西田幾多郎の「不正スタート」
 結論にかえて――ストレンジャーのポイエシス
結論
あとがき
人名索引

著者|Author

森野雄介(もりの・ゆうすけ)
1988年生まれ。金沢学院大学基礎教育機構講師。主な論文に「猫と歴史的世界 あるいはストレンジャーのポイエシス アンリ・マルディネから西田幾多郎を読み直す」(『金沢学院大学紀要』20)など。

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道をむすぶ 時をたがやす―台湾原住民族アミ・カトリック信者の近現代誌

道をむすぶ 時をたがやす

台湾原住民族アミ・カトリック信者の近現代誌

  • 岡田紅理子(著)/2025年5月
  • 5400円(本体)/A5判上製388頁
  • 装丁:大田高充

「キリスト教徒になること」と「キリスト教徒として生きること」
キリスト教信仰と「伝統文化」が複雑に絡み合いながらアイデンティティを未来へとつなげてきた、台湾の先住民族であるアミの人々の生の過程を描く。

「(表面的・形式的ではない、本当の)信仰」を身に付け、「篤い信仰」を持ったのか否か、あるいはキリスト教の信仰を「真に受容した」のか否かは、信者自身による申告や他者による観察によって、客観的かつ相対的に判別できるのだろうか。在来のコスモロジーにおけるパンテオンとカトリック教会の教理における神や霊的・聖的な神聖の存在を変換可能とみなすことは、超越的唯一神の崇拝とは相容れない解釈なのだろうか。もしくは、在来のコスモロジーとの親和性を見出しながら解釈されたものは、キリスト教信仰とは呼べないのだろうか。(中略)救済品を獲得したことへの感謝の想いから、集いに参加したり、祈ったり、あるいは洗礼を受けることを決断したりする行為を、「信仰」とはみなせないのだろうか[本書「おわりに」より]

(ISBN 9784868160076)

目次|contents

序論
第一部 アミとカトリシズム
第二部 アミの入信
第三部 アミの都市移住と都市生活
第四部 都市アミとカトリック信者共同体
おわりに

あとがき
参考文献一覧
索引

著者|author

岡田紅理子(おかだ くりこ)

ノートルダム清心女子大学・講師

専攻・専門:文化人類学、台湾地域研究

主な著作に『都市原住民の生活誌:台北に移住したアミの「都市」、「故郷」、「共同体」』(Monograph Series  vol. 13)(上智大学アジア文化研究所、2013年)、「「救済品」とキリスト教:米援をめぐるカトリック宣教とアミの入信の諸相」(『台湾原住民研究』第24号、2020年)、「呼応する教会と神学:台湾のキリスト教会と先住民族からの考察」(『宣教学ジャーナル』第17号、2023年)など。

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いのちのどこが大切なのか ハイデガーとアーレント

いのちのどこが大切なのか ハイデガーとアーレント

  • 森一郎(著)/2025年4月
  • 4000円(本体)/四六判上製396頁
  • 装丁:長尾優

生命尊重主義の系譜学へ
「ただ生きること」一辺倒は、「よく生きること」へのまなざしを塞いでいないだろうか。「いのちを大切にしよう!」と呼びかけ合う現代人に冷や水を浴びせかけるソクラテス流反問が、ハイデガーとアーレントを拠点とし、コロナ禍をくぐり抜けて、いまここに甦る。『アーレントと赦しの可能性』に続く反時代的試論集。
(ISBN 9784861109751)

目次|contents

凡例

第I部 ヒューマニズムの系譜学
第一章 哲学にとって死はどこまで問題か――死生観と哲学観
第二章 いのちのどこが大切なのか――古代ギリシア人の死生観への一瞥
第三章 自然的平等について――近代道徳の系譜学のための一覚書
第四章 哲学的人間学の自然主義的起源――ホッブズの人間理解
第五章 コロナ禍はどこまで危機なのか――反時代的試論
第六章 コロナ禍において見えてきたこと――革命論序説
第II部 ハイデガーからアーレントへ
第七章 制作と哲学、制作と政治――「ハイデガーとアーレント」のために
第八章 制作と哲学、制作と政治(続)――『人間の条件』第三一節に即して
第九章 死と良心――『存在と時間』の中心部
第十章 良心をめぐって――ハイデガーとアーレント
第十一章 どこまでわれわれは哲学をすすめられるか――観想的生と近代
第十二章 世界と真理をめぐって――ハイデガーからアーレントへ
あとがき
初出一覧
人名索引

著者|author

森一郎(もり・いちろう)
1962年埼玉県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学大学院人文科学研究科博士課程中退。東京女子大学文理学部教授等を経て、現在、東北大学大学院情報科学研究科教授。博士(文学)。専攻は哲学。著書に、『死と誕生――ハイデガー・九鬼周造・アーレント』、『死を超えるもの――3・11以後の哲学の可能性』(以上、東京大学出版会)、『世代問題の再燃――ハイデガー、アーレントとともに哲学する』(明石書店)、『現代の危機と哲学』(放送大学教育振興会)、『ハイデガーと哲学の可能性――世界・時間・政治』(法政大学出版局)、『核時代のテクノロジー論――ハイデガー『技術とは何だろうか』を読み直す』(現代書館)、『ポリスへの愛――アーレントと政治哲学の可能性』(風行社)、『アーレントと革命の哲学――『革命論』を読む』(みすず書房)、『快読 ニーチェ『ツァラトゥストラはこう言った』』(講談社選書メチエ)、『アーレントと赦しの可能性――反時代的試論』(春風社)、『ニーチェ――哲学的生を生きる』(青土社)ほか。訳書に、アーレント『活動的生』、『革命論』(以上、みすず書房)、ニーチェ『愉しい学問』、『ツァラトゥストラはこう言った』、ハイデガー『技術とは何だろうか』(以上、講談社学術文庫)ほか。

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モノからみた宗教の世界

モノからみた宗教の世界

  • 八木百合子(編)/2025年3月
  • 3500円(本体)/A5判並製310頁
  • 装丁:コバヤシタケシ

産業化やグローバル化を背景に、日常のあらゆるモノが商品として大量に生産・消費されるなか、宗教的なモノの商品化もかつてないほど進んでいる。神々のイメージは、印刷物や彫像からデジタルメディアに置き換わり世界中に拡散・流通している――
モノそのもの、モノと人との関係から、現代の宗教世界の実相を捉える論集

(ISBN 9784868160069)

目次|contents

序章 モノをとおしてみる現代の宗教世界  八木百合子 [pp.7-33]

第一部 モノ/イメージの複製と聖性
第1章 フィリピンの聖画像崇敬にみるモノと聖性  古沢ゆりあ[pp.37-59]
第2章 「多文化共生」のシンボルとしての聖像―ベトナムから持ち込まれたキリスト像の例  野上恵美[pp.61-84]
第3章 観光と巡礼の町で生まれたアッシジ刺繍  笠井みぎわ[pp.85-111]
コラム1 人の道具と神の持ち物―弁才天の持物に注目して  鳥谷武史[pp.113-117]

第二部 モノの蓄積と処理
第4章 蓄積されるモノと聖性のありか―チベットの宗教実践の事例から 小西賢吾[pp.121-147]
第5章 イスラームの宗教実践におけるモノ―チュニジアにおけるクルアーンカレンダーの事例から  二ツ山達朗[pp.147-169]
第6章 聖像のゆくすえ―ペルーにおけるニーニョ像の継承をめぐる実践  八木百合子[pp.171-195]
第7章 トルコにおけるモスク寄進絨毯の今昔―ローカルな「篤志の標」の転生  田村うらら[pp.197-220]
コラム2 誰のものでもないモノ―人と風土をつなぐ講の掛け軸  小倉美恵子[pp.221-225]

第三部 モノと物質性の変化
第8章 モノがめぐり、神がめぐる―ガネーシャ祭における信仰実践の更新  福内千絵[pp.229-249]
第9章 呪いと祓いをカスタマイズする―ギニア・スス社会における宗教的なモノを例に 中川千草[pp.251-272]
第10章 「うたう」から「漂う」仏教音楽へ―電子念仏機を通して作られる音空間  長嶺亮子[pp.273-292]
コラム3 メキシコのブリキ絵  高木崇雄[pp.293-298]

あとがき
索引
執筆者一覧

編者|editor

八木 百合子(やぎ・ゆりこ)
国立民族学博物館グローバル現象研究部、総合研究大学院大学人類文化研究コース准教授
博士(文学)
文化人類学、アンデス研究
主な著作等 『アンデスの聖人信仰:人の移動が織りなす文化のダイナミズム』(臨川書店、2015年)、「聖母の奉納品にみるアンデス的意匠:クスコのアルムデナ教会の事例から」(青山和夫・米延仁志・坂井正人・鈴木紀編『古代アメリカの比較文明論:メソアメリカとアンデスの過去から現代まで』京都大学学術出版会、2018年)、Etnografía Andina: recorrido y valoración cultural (Senri Ethnological Studies No.111、編著、National Museum of Ethnology、2022年)。

お詫びと訂正

本文中に編集上の不手際で以下のような誤りが生じました。謹んでお詫びして訂正いたします。
●26-27頁:「様々なに変化してきている」→「様々なかたちに変化してきている」

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在日コリアン教会の戦後―再編されるエスニック・チャーチ

在日コリアン教会の戦後

再編されるエスニック・チャーチ

  • 荻翔一(著)/2025年2月
  • 5300円(本体)/A5判上製350頁
  • 装丁:中本那由子

在日コリアンが礼拝し運営するキリスト教会は、韓国人ニューカマーの参与などで信者が多様化していくなか、どのようにそういった集団を包摂してきたのか。
1980年代以降「エスニック・チャーチ」として日本各地の教会の理念や活動が再編されてきた過程を、組織マネジメントの方法に着目し、インタビューや教会資料の分析などからその特徴を明らかにする

(ISBN 9784868160045)

目次|contents

序章 エスニック・チャーチの発生論から継承/変容論へ――本書の目的・視点・方法
第1章 在日コリアン社会の形成と変容
第2章 朝鮮(韓国)におけるキリスト教の歴史的展開と新旧コリアンへの影響
第3章 在日大韓基督教会(KCCJ)の再建と世代交代
第4章 エスニック・チャーチからマイノリティ教会へ――KCCJ大阪教会
第5章 在日ホーリネス教会の再建と変容――東京・大阪・広島を事例に
第6章 エスニック・チャーチから日本宣教を行う教会へ――広島第一教会
第7章 宣教団体の支援による再建と葛藤――単立教会に至る東京福音教会の再建過程
第8章 エスニック・チャーチの維持・継承――東京福音教会
補論 国際結婚夫婦の信仰生活――信仰の深化と教会への帰属意識
終章 エスニック・チャーチの展開パターンとその要因

あとがき

参考文献一覧
索引

著者|author

荻翔一(おぎ・しょういち)
日本学術振興会・特別研究員(PD)
宗教社会学・「移民と宗教」研究

主な著作
・「高齢化問題に取り組む韓国系キリスト教会―大阪市・在日コリアン集住地域を事例に―」高橋典史・白波瀬達也・星野壮編著『現代日本の宗教と多文化共生―移民と地域社会の関係性を探る―』明石書店、2018年。
・「在日コリアン教会におけるコリアンの多様化と教会運営の模索―主日礼拝における日本語の導入・位置づけをめぐって―」松本誠一編『「共助」をめぐる伝統と創造―日韓コミュニティ比較の視座―』岩田書院、2021年。
・「『在日コリアンと宗教』研究の成果と課題」井上貴也、荻翔一、高橋圭、子島進『アジア諸国の持続可能性(1)』東洋大学アジア文化研究所、2023年。

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神による〈記憶〉と死者のための祈り―日本ハリストス正教会の定着過程をめぐって

神による〈記憶〉と死者のための祈り

日本ハリストス正教会の定着過程をめぐって

  • 佐﨑愛(著)/2025年2月
  • 5500円(本体)/四六判上製512頁
  • 装丁:中本那由子

日本の正教徒は、なぜ死者のために祈るのだろうか?
実際のところ死後にどうなったかが分からないという点に加えて、天国にいる場合でも死者がより神の近くに行けるよう祈るのだという、このようなある種の死に対する明るさが、正教会における死に関する受け止め方のもっとも大きな特徴である。(本文より)
(ISBN9784861109904)

目次|Contents

図・表・写真一覧
凡例
はじめに
序章 日本にキリスト教はいかに定着したか
I部 日本ハリストス正教会の概観
第1章 日本ハリストス正教会の歴史的概要
第2章 日本ハリストス正教会の儀礼
第3章 日本ハリストス正教会の死生観と神による〈記憶〉
II部 日本ハリストス正教会の儀礼実践
第4章 新しい〈供養〉儀礼「月例パニヒダ」
第5章 日本の正教徒宅の家庭祭壇
第6章 葬儀と墓地
終章 日本ハリストス正教会の定着過程
あとがき

附録
 (1)日本ハリストス正教会信徒数の推移
 (2)日本ハリストス正教史年表
 (3)日本正教会の神品・教衆ほかの名称一覧
 (4)アンケート調査①:質問紙とその結果(対象:日本全国の正教会)
参考・引用文献
索引

著者|Author

佐﨑愛(さざき・あい)
1992年、大阪生まれ。北海学園大学人文学部卒業。東北大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在、東北大学文学部助教。専門は宗教学、主な関心は日本ハリストス正教会の死者儀礼、死者の弔いをめぐる儀礼やモノの現代的変容。
・主な著書
共著に、「近現代日本の正教会」(キリスト教文化事典編集委員会編『キリスト教文化事典』丸善出版、2022年)、主な論文に「日本ハリストス正教会の〈死者の記憶〉」(『論集』46号、2019年)、「家庭祭壇に置かれる「モノ」の物質性――日本の正教徒宅にある家庭祭壇の比較を通して」(『東北宗教学』15号、2019年)など。

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カント「人倫の形而上学」の生成―理念論の道をたどる

カント「人倫の形而上学」の生成

理念論の道をたどる

  • 宮村悠介(著)/2024年10月
  • 4000円(本体)/四六判上製244頁
  • 装丁:間村俊一

カント哲学の集大成『人倫の形而上学』はいかに成立したのか。

遺稿や講義録などの綿密な読解をとおして、30年におよぶカントの思想形成史そのものともいうべき、理念論の〈道〉としての「人倫の形而上学」を明らかにする。

(ISBN 9784861109768)

目次|Contents

序 カントの一大プロジェクト
第一部 理念論への道
第一章 カントの「人倫の形而上学」の構想
第二章 カントの理念論の歴史的背景
第三章 カントの理念論の生成
第二部 理念論の道
第四章 知恵と哲学
第五章 徳と倫理学
第六章 共和国と共同体
第七章 理想と人格
あとがき

著者|Author

宮村悠介(みやむら・ゆうすけ

1982年生まれ。埼玉県出身。2011年、東京大学大学院人文社会系研究科倫理学専攻博士課程単位取得満期退学。博士(文学)。愛知教育大学教育学部准教授を経て、現在、大正大学文学部准教授。専門は倫理学と比較思想。訳書にI・カント『人倫の形而上学 第二部 徳論の形而上学的原理』(岩波文庫、2024年)があり、共著に『ACPの考え方と実践 エンドオブライフ・ケアの臨床倫理』(会田薫子編、東京大学出版会、2024年)、『和辻哲郎の人文学』(木村純二・吉田真樹編、ナカニシヤ出版、2021年)などがある。

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