歴史が生みだす紛争、紛争が生みだす歴史―現代アフリカにおける暴力と和解

歴史が生みだす紛争、紛争が生みだす歴史

現代アフリカにおける暴力と和解

  • 佐川徹、竹沢尚一郎、松本尚之(編)/2024年3月
  • 3600円(本体)/A5判上製292頁
  • 装丁:長田年伸

凄惨な暴力の経緯とその後の課題。
アフリカにおけるさまざまな紛争や暴力の論理と動態を、「無秩序」や「野蛮さ」のイメージから距離を置きつつ、その政治経済・歴史的側面に注目しながら解き明かす。

(ISBN 9784861109539)

目次|contents

序章 歴史が生みだす紛争、紛争が生みだす歴史(竹沢尚一郎、松本尚之、佐川徹)

Ⅰ 国際関係のなかの紛争の機制
第1章 フランスの「かくも惨めな失敗」―マリにおける紛争と混乱の歴史的背景(竹沢尚一郎)
第2章 模倣すべき「過去」―南アフリカ・ナタール植民地における武装蜂起と人種隔離政策の形成(上林朋広)
第3章 誰が好戦的なのか―ウガンダにおける治安部隊編成の歴史と民族をめぐる言説(山崎暢子)

Ⅱ 暴力のモラリティと歴史経験
第4章 いびつなレプリカとしての「報復」―南スーダン、ヌエル社会における紛争と殺人をめぐる概念の歴史的変遷(橋本栄莉)
第5章 内と外の境界を越えて―ウガンダ北部紛争後の和解と加害行為の位置づけ(川口博子)

Ⅲ 紛争をめぐる記憶の配置
第6章 ビアフラ戦争とハム仮説―イボ人たちの「さまよえるユダヤ人」としての運命(松本尚之)
第7章 沈黙の領有、それに抗する慟哭―ルワンダの「歴史」を取り戻す彼女たちの倫理的交渉(近藤有希子)

あとがき
執筆者紹介

編者|editors

佐川徹(さがわ・とおる)
慶應義塾大学文学部准教授
専攻はアフリカ地域研究、文化人類学
主な著作に『負債と信用の人類学:人間経済の現在』(分担執筆、以文社、2023年)、『ようこそアフリカ世界へ』(分担執筆、昭和堂、2022年)、『「戦争と社会」という問い』(分担執筆、岩波書店、2021年)など。

竹沢尚一郎(たけざわ・しょういちろう)
国立民族学博物館・名誉教授
専攻はアフリカ史、宗教人類学
主な著作に『ホモ・サピエンスの宗教史:宗教は人類になにをもたらしたのか』(中央公論新社、2023年)、『原発事故避難者はどう生きてきたか:被傷性の人類学』(東信堂、2022年)、『文化人類学のエッセンス:世界をみる/変える』(共編著、有斐閣、2021年)など。

松本尚之(まつもと・ひさし)
横浜国立大学都市イノベーション研究院教授
専攻は文化人類学、アフリカ地域研究
主な著作に『モビリティの社会学』(分担執筆、有斐閣、近刊)、『アフリカ潜在力のカレイドスコープ』(分担執筆、晃洋書房、2022年)、『アフリカで学ぶ文化人類学:民族誌がひらく世界』(共編著、昭和堂、2019年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

すべての指に技法を持つ

すべての指に技法を持つ

手仕事が織りなす現代アルジェリア女性の生活誌

  • 山本沙希(著)/2024年2月
  • 4300円(本体)/A5判上製308頁
  • 装丁:朝倉久美子
  • 装画:原田俊二

手工芸に従事する女性たちの「なんとかやる」実践。稼得機会を生みだすための、賢知と狡知を駆使した日常的な創意工夫によって紡がれる生活世界を、多元的で重層的に描く。

(ISBN 9784861108891)

目次|contents

序章 「指の技法」が紡ぐアルジェリア女性の生活世界
第1章 制度的包摂の試み――公的労働統計と法制度化のプロセス
第2章 コロニアルな植民地支配の遺産の利用と組織化の実践――カビリー地方「絨毯の村」で生きる
第3章 カトリック修道会の活動展開とムスリム女性による利用実践――旧市街カスバにおける手工芸センターの運営
第4章 国内女性団体によるネットワーキングの試み――不揃いな参加形態を保つ
第5章 離婚という経験が断つもの、拓くもの
第6章 個人事業主として働く――手仕事の多様なあり方、働き方
第7章 妻または母であり、事業主であること
終章 「なんとかやる」ことで創られる日常

あとがき
参照文献一覧
索引

著者|author

山本沙希(やまもと・さき)
所属・職位:立教大学異文化コミュニケーション学部ポストドクトラル・フェロー
専攻・専門:北アフリカ・マグリブ地域研究とジェンダー
主な著作に、「家内と戸外をつなぐ手仕事:アルジェリア女性の家内労働という働き方」『労働の理念と現実』(イスラーム・ジェンダー・スタディーズ第8巻、明石書店、2024年)、「現代アルジェリアにおける機織り女性のコロニアルな遺産の利用と組織化の実践:カビリー地方「絨毯の村」を事例に」(『日本中東学会年報』2022年度第1号、2022年)、「アルジェ〈アルジェリア〉:街を飛び交う複数の言語」(『地中海を旅する62章:歴史と文化の都市探訪』、松原康介編、明石書店、2019年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

原爆被爆者の暮らしとトラウマ―絡み合いを描きだす

原爆被爆者の暮らしとトラウマ

絡み合いを描きだす

  • 愛葉由依(著)/2024年2月
  • 4300円(本体)/A5判上製352頁
  • 装丁:矢萩多聞

トラウマと折り合いをつけながら日々を生きてきた原爆被爆者

晩年になって重い口を開き始めた原爆被爆者や、広島・長崎県外在住の原爆被爆者、乳幼児期被爆者にも光を当て、トラウマをめぐる因果論を当事者の記憶と主観的時間に沿って捉え直す

(ISBN 9784861108860)

目次|contents

はじめに

序章 原爆被爆者とそのトラウマをめぐって

第1部
第1章 国内外に暮らす原爆被爆者
第2章 被爆者援護を求めてたたかう
第3章 愛友会
第4章 原爆関連報道

第2部
第5章 原爆投下と放射線被害の判明
第6章 原爆の記憶をめぐる多様な振る舞い
第7章 次世代を視野に入れた反核と継承

第3部
第8章 螺旋状の因果性をなすトラウマ
第9章 トラウマと折り合いをつけながら生きる

終章 当事者の視点で捉え直す

おわりに
参考文献
索引

著者|author

愛葉由依(あいば・ゆい)

広島大学・特別研究員PD(日本学術振興会)。
名古屋大学大学院人文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。
専攻・専門は文化人類学、医療人類学。

主な著作に、「螺旋状の因果性をもつトラウマ――原爆被爆者をめぐって」(『こころと文化』21(2)、2023年)、「乳幼児期被爆者による原爆体験の構築――「愛知自分史の会」の事例から」 (『戦争社会学研究』5、2021年)、 『祖父とあゆむヒロシマ――今は言える、自由に。』 (風媒社、2019年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

アンティコニ―北米先住民のソフォクレス

アンティコニ

北米先住民のソフォクレス

  • ベス・パイアトート(著)/初見かおり(訳)/2024年2月予定
  • 1950円(本体)/四六判並製154頁
  • 装丁:中本那由子

北米先住民ネズパース族とカイユース族の血を引く娘アンティコニが、ワシントンDCの博物館から祖先の遺骸を盗み出した、その顛末を語る現代の新たな神話―――
先住民と近代知(サイエンス)をめぐる暴力、囚われ、責任を、ギリシア悲劇の翻案によって描き出す。
さまざまな息づかいが感じられる、原文・翻訳併記。

「読者のあなたは、本作の中のどこにいるだろうか」(石原真衣・前口上より)

「死者たちを幽閉すれば、生者たちも囚われ人となる」と、盲目のティウェート(シャーマン)のテイレシアースが言う。死者たちを幽閉してきたサイエンスがこれまで問われてこなかった。問われるまでに、あまりにも長い時間がかかりすぎた。(初見かおり・訳者解題より)

(ISBN 9784861109133)

目次|contents

前口上 21世紀の神話的空間――古代ギリシャ悲劇から北米先住民文学、そして名前のない暴力へ(石原真衣)

アンティコニ

訳者解題
参考文献
訳者あとがき

著者|author

ベス・パイアトート(Beth Piatote)
カリフォルニア大学バークレー校・准教授(比較文学部、英文学部)。専門は先住民の文学と法。研究者、作家、活動家/ヒーラー。フィクション、詩、戯曲、エッセーなど多数。アメリカ先住民諸語、特にネズパース語とネズパース文学の復興に携わる。
著書に『Domestic Subjects: Gender, Citizenship, and Law in Native American Literature(ドメスティックな主体:アメリカ先住民文学におけるジェンダー、市民権、法)』(Yale University Press, 2013)や本劇「アンティコニ」が収録されている『The Beadworkers: Stories(ビーズ職人:物語)』(Counterpoint, 2019)など。

訳者|translator

初見かおり(はつみ かおり)
西南学院大学・准教授(外国語学部外国語学科)。専門は文化人類学。民族誌の記述と倫理に関心がある。
著書に『ハレルヤ村の漁師たち:スリランカ・タミルの村 内戦と信仰のエスノグラフィー』(左右社、2021)、論文に「Beyond Methodological Agnosticism: Ritual, Healing, and Sri Lanka’s Civil War」(方法論としての不可知論を超えて)(The Australian Journal of Anthropology、2017)など。

著者(前口上)|author(preface)

石原真衣(いしはら まい)
北海道サッポロ市生まれ。アイヌと琴似屯田兵(会津藩)のマルチレイシャル。北海道大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。現在は、北海道大学アイヌ・先住民研究センター准教授。文化人類学、先住民フェミニズム。
著書に 『〈沈黙〉の自伝的民族誌(オートエスノグラフィー):サイレント・アイヌの痛みと救済の物語』(北海道大学出版会、2020年、大平正芳記念賞受賞)、『アイヌがまなざす(仮題)』(村上靖彦との共著、岩波書店、2024年近刊)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

異なる者の出会いと共存―西アフリカ・ムスリムの人類学的聖者伝

異なる者の出会いと共存

西アフリカ・ムスリムの人類学的聖者伝

  • 坂井信三(著)/2023年2月
  • 5000円(本体)/A5判上製352頁
  • 装丁:コバヤシタケシ

西アフリカのムスリムは、外来のイスラームとの出会いと在来の文化との共存をどのように生きたのか。
19世紀から20世紀初頭にかけて生きた三人のムスリム知識人の生涯と思想を、彼らの時代・社会を構成する様々な対立的要素と結び合わせながら描く「聖者伝」の形式によって、口頭伝承と文書記録から成るこの地の「知の布置構造」や社会倫理、そして「聖者の生成」を要請する社会状況を考察する。

(ISBN 9784861109119)

目次|contents

序章 「異なる者の出会いと共存」

第一部 ジャのアルファ・ボアリ・カラベンタ:嘆願する聖者
第1章 背景
第2章 伝承
第3章 嘆願する聖者

第二部 シンサニのカラモコ・ウスマン・ソソ:「戦争の家」のムスリム知識人
第1章 マルカ・ムスリムの文書研究の課題
第2章 状況
第3章 文書
第4章 マルカ・ムスリムの自己像

第三部 バンジャガラのチェルノ・ボカール・サーリフ・タル:「唯一以外であり得ない神」
第1章 植民地支配とチェルノ・ボカールの生涯
第2章 資料
第3章 チェルノ・ボカールの宗教思想

終章 対立を担う「聖者」たち

あとがき
文献
索引

著者|author

坂井 信三(さかい・しんぞう)
南山大学名誉教授。専門は西アフリカの歴史人類学。
主な著書等に、『イスラームと商業の歴史人類学―西アフリカの交易と知識のネットワーク』、(2003年、世界思想社)、「口頭伝承からみたジャ」(川田順造編『ニジェール川大湾曲部の自然と文化』1997年、東京大学出版会)、M.グリオール『水の神―ドゴン族の神話的世界』(竹沢尚一郎と共訳、1981年、せりか書房)などがある。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

カーイ・フェチ/来て踊ろう―日本におけるセネガルのサバールダンス実践

カーイ・フェチ/来て踊ろう

日本におけるセネガルのサバールダンス実践

  • 菅野淑(著)/2024年1月
  • 3500円(本体)/四六判上製308頁
  • 装丁:中本那由子

セネガルの路上やナイトクラブでひらかれるパーティで踊られるダンス、サバール。複雑な太鼓のリズムにあわせたダイナミックなこの踊りがどうして日本で実践されるに至っているのか。その経緯と実際の様子を、セネガルと日本での筆者の経験と調査を通して描出する。
(ISBN 9784861108853)

目次|contents

まえがき

序章
第一章 セネガルにおけるサバール
第二章 サバールダンスの担い手と踊られる機会―ダカールの事例を中心として
第三章 サバールダンスの日本への流入と実践状況
第四章 サバールダンスの学びとその工夫
第五章 日本で異文化を実践すること
第六章 サバールダンス実践を通して見る個々人と異文化の関わり
終章 実践から生まれるもの、その先にあるもの

あとがき
参考文献
索引

著者|author

菅野 淑(かんの・しゅく)
愛知淑徳大学ビジネス学部 助教
専門は文化人類学、アフリカ研究
主な著作に、「日本社会に生きるアフリカ地域出身者たち」(『現代アフリカ文化の今:15の視点から、その現在地を探る』ウスビ・サコ、清水貴夫編著、青幻舎、2020年)、「日本におけるアフリカン・ダンス:ダンスで日本とアフリカ、そして世界と繋がる」(『季刊民族学』176 特集 隣りのアフリカ人:グローバル世界を生きる人びと、公益財団法人千里文化財団、2021年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

果樹とはぐくむモラル―ブラジル日系果樹園からの農の人類学

果樹とはぐくむモラル

ブラジル日系果樹園からの農の人類学

  • 吉村竜(著)/2024年1月
  • 4400円(本体)/A5判上製314頁
  • 装丁:コバヤシタケシ
  • 装画:佐貫絢郁

農業の面白さと夢。
ブラジルの地に渡った日系人たちが、人間・作物・生態環境の三者関係のなかで「農を業に」してきたその軌跡を、営みを持続するに伴い培われてきた「モラル」に着目しながら描く、農の人類学。

(ISBN 9784861108877)

目次|contents

はじめに

第一章 農民、農業、農
第二章 農から農業へ―中間層の日系人

コラム1 ピラール日系人と〈わたし〉

第一部 市場と向き合う日系人の「モラル」――連帯・協同・仲間意識
第三章 「自由」のなかの連帯
第四章 協同する日系人―日系協同組合の再編プロジェクト
第五章 日系人の仲間意識

コラム2 「ジャポネース」はあだ名?
コラム3 食卓から見る日系人どうしの違和感
コラム4 文協における祭礼行事と宗教

第二部 作物と向き合う日系人の理念と実践――植生・知識・対話
第六章 柿と向き合う日系人―消費と流通の地域史
第七章 果樹と向き合う―経験知の獲得と伝達
第八章 果樹との対話から人との対話へ―技術支援の現場

終章 果樹とはぐくむモラル

おわりに
参照文献
索引

著者|author

吉村竜(よしむら・りゅう)

日本学術振興会特別研究員(PD)
専攻・専門は社会人類学、地域研究。
主な著作に、「ニホンジンもブラジルジンでさえも――ブラジル南東部ピラールにおける日系人の新たな仲間意識」(『文化人類学研究』21、2021年)、『Novos Temas de Pesquisa em Estudos Japoneses: Uma Perspectiva Internacional sobre Direito, Política, Sociedade e Cultura』(Ernani Oda, Olivia Yumi Nakaema, Yuri Kuroda Nabeshima 編、共著、2019年)、「個人化と協同性を生きる農民――ピラール・ド・スール果樹栽培農民の主体的選択にみる農業協同組合の位置」(『社会人類学年報』41、2015年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

ひとつとして同じモノがない―トヨタとともに生きる「単品モノ」町工場の民族誌

ひとつとして同じモノがない

トヨタとともに生きる「単品モノ」町工場の民族誌

  • 加藤英明(著)/2024年1月
  • 4300円(本体)/A5判上製266頁
  • 装丁:長田年伸

現代工業社会においてモノをつくるとはどのようなことか。
従来ほとんど光が当たることがなかった「単品モノ」町工場へのフィールドワークから、愛知県西三河地域の町工場がどのような技術や工夫、誇りをもってモノづくりをおこない、どのようにトヨタとともに関係し合いながら発展してきたのか、そのダイナミズムを明らかにする。

(ISBN 9784861108884)

目次|contents

まえがき

序章 現代工業社会の技術の民族誌に向けて
第一節 先行研究
第二節 本書の視座と構成、調査概要

第一章 自動車産業の技術史―トヨタを事例に
第一節 トヨタによる量産のはじまり―総力戦体制下のもとで
第二節 人から設備へ
第三節 「トヨタ生産システム」の確立
第四節 トヨタのグローバル展開
第五節 小括

第二章 コストダウンに抗する―注文主と町工場
第一節 愛知県における町工場の広がり
第二節 コストダウンに対する町工場の動き
第三節 小括

第三章 ヨコのネットワーク―トヨタのモノづくりの裏側で
第一節 「単品モノ」のネットワーク
第二節  材料を売る―問屋と町工場のあいだで
第三節 手配する
第四節 依頼を受ける町工場
第五節 小括

第四章 仕事場をつくる―モノづくりの民族誌1
第一節 町工場に流通する機械
第二節  仕事場をめぐる試行錯誤 の変遷(一九七一年~現在)
第三節 機械と道具
第四節 小括

第五章 「単品モノ」をつくる―モノづくりの民族誌2
第一節 部品製作の小史
第二節  H氏の技術的実践
第三節 工程をつくる
第四節 小括

終章 現代工業社会の技術とは

あとがき
参考文献
索引

著者|author

加藤英明(かとう・ひであき)

南山大学人類学研究所プロジェクト研究員。
専攻・専門は、文化人類学、技術研究。
主な著作に、「金属切削加工に従事する町工場の技術──シェーン・オペラトワール論を分析視座として」(『物質文化』 96 、2017年)、「「公差」におさめる──システム、技術的実践、企業間関係 」(『年報人類学研究』12、2021年)、「新旧の工作機械の使用をめぐる町工場のモノづくり──デジタル・物質性・技能の観点から」(後藤明監修、大西秀之編『モノ・コト・コトバの人類史――総合人類学の探求』、雄山閣 、2022年)。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

日中戦時下の中国語雑誌『女声』―フェミニスト田村俊子を中心に

日中戦時下の中国語雑誌『女声』

フェミニスト田村俊子を中心に

  • 山﨑眞紀子、江上幸子、石川照子、渡辺千尋、宜野座菜央見、藤井敦子、中山文、姚毅、鈴木将久、須藤瑞代(著)/2023年12月
  • 4500円(本体)/A5判上製408頁
  • 装丁:中本那由子

日中戦争期上海で刊行されていた中国語の女性雑誌『女声』について、日本人編集長田村俊子の姿勢を浮かび上がらせることを主眼に、「信箱」(読者による悩み相談)、文芸、映画、演劇、児童、国際報道などの各記事を分析。田村俊子と中国女性編集員たちがときに価値観の相違を見せながらも、女性の人生、境遇、将来について考え、発表を続けた諸相を多角的に考察する。
(ISBN 9784861109164)

目次|contents

はじめに
Ⅰ 総論
第1章 田村俊子と『女声』 山﨑眞紀子
第2章 関露の『女声』への参加とその後 江上幸子
「東京寄語」「東京憶語(精神病状態の日々)」関露(須藤瑞代訳)
第3章 アジア・太平洋戦争期の上海政治空間と国際関係―『女声』の性格を探る手がかりとして 石川照子

Ⅱ 『女声』の戦略性
第4章 プロパガンダの「責任者」としての編集長・田村俊子―時事評論欄「国際新聞」「新聞網」「瞭望台」の検討から 渡辺千尋
第5章 『女声』の映画スペース―日本に対する同調・忌避・〝好意〟 宜野座菜央見
第6章 『女声』における「先声」と「余声」の意義 藤井敦子

Ⅲ 関露と『女声』
第7章 『女声』誌上のジェンダー論―関露を中心に 江上幸子
長編小説『黎明』第三章 関露(石井洋美訳 江上幸子解説)
第8章 『女声』劇評にみるジェンダー観―関露の見た海派話劇 中山文

Ⅳ 田村俊子と『女声』
第9章 『女声』における「児童」ならびに豊島与志雄の童話 姚毅
第10章 陶晶孫と田村俊子、そして『女声』 鈴木将久
「日本からアメリカ、そして中国へ―追悼・佐藤女史」陶晶孫(藤井敦子訳)
第11章 『女声』における日本女性の存在と不在 須藤瑞代
第12章 田村俊子主宰「信箱」―戦時下における私的言語の空間 山﨑眞紀子
おわりに

参考文献一覧
『女声』総目録
主要執筆者のペンネームと執筆記事一覧
索引

著者|author

山﨑眞紀子(やまさき・まきこ)
日本大学スポーツ科学部教授、日本大学大学院総合社会情報研究科教授。日本近現代文学。
主な著作に、『田村俊子の世界―作品と言説空間の変容』(彩流社、2005年)、「青島―翻訳都市、須賀敦子の青島」『中国の都市の歴史的記憶』(共著、勉誠出版、2022年)など。

江上幸子(えがみ・さちこ)
フェリス女学院大学名誉教授。中国近現代文学・女性史。
主な著作に『探索丁玲』(共著、台湾:人間出版社、2017年)、『中国の娯楽とジェンダー―女が変える/女が変わる』(共著、勉誠出版、2022年)など。

須藤瑞代(すどう・みずよ)
京都産業大学准教授。近代中国ジェンダー史研究。
主な著作に、『中国「女権」概念の変容―清末民初の人権とジェンダー』(研文出版、2007年)、『女性記者・竹中繁のつないだ近代中国と日本―一九二六〜二七年の中国旅行日記を中心に』(共著、研文出版、2018年)など。

石川照子(いしかわ・てるこ)
大妻女子大学比較文化学部教授。中国近現代史(女性史、ジェンダー、キリスト教)。
主な著作に、『戦時上海のメディア―文化的ポリティクスの視座から』(共編著、研文出版、2016年)、『女性記者・竹中繁のつないだ近代中国と日本― 一九二六~二七年の中国旅行日記を中心に』(共著、研文出版、2018年)など。

渡辺千尋(わたなべ・ちひろ)
東洋大学経済学部講師。日本近代史、近代日中関係史。
主な著作に、「治外法権撤廃・内地開放論の経済的背景―中国「本部」を中心に」(『東アジア近代史』第24号、2020年6月)、「日清戦争後の対清経済政策と居留地経営」(『交通史研究』第94号、2019年3月)など。

宜野座菜央見(ぎのざ・なおみ)
明治大学文学部兼任講師。日本史・映像文化史。
主な著作に、宜野座菜央見『モダン・ライフと戦争―スクリーンのなかの女性たち』(吉川弘文館、2013年)など。

藤井敦子(ふじい・あつこ)
立命館大学客員協力研究員・立命館大学非常勤講師・関西外国語大学非常勤講師。中国近現代史・中国女性史・中国近現代文学。
主な著作に、『女性記者・竹中繁のつないだ近代中国と日本―一九二六~二七年の中国旅行日記を中心に』(共著、研文出版、2018年)、『わたしの青春、台湾』(共訳、五月書房新社、2020年)など。

石井洋美(いしい・ひろみ)
横浜国立大学等非常勤講師。中国現代文学。
主な著作に、「葉霊鳳が描いた男女に見られる「椿姫」の影響―1932年以降の作品を中心に」『文学の力、語りの挑戦』(共著、東方書店、2021年)、「葉霊鳳の短編小説「麗麗斯」解釈の可能性―アナトール・フランス「リリトの娘」との類似性と相違点について」(『人間文化創成科学論叢』第22巻、2020年)など。

中山文(なかやま・ふみ)
神戸学院大学人文学部教授。中国演劇、ジェンダー学。
主な著作に、『新版 越劇の世界―中国の女性演劇』(共編著、エヌ・ケー・ステーション、2019年)、「姉妹の越劇―姚水娟・袁雪芬・尹桂芳の時代」『中国の娯楽とジェンダー―女が変える/女が変わる』(共著、勉誠出版、2022年)など。

姚毅(よう・き)
大阪公立大学客員研究員。中国女性史。
主な著作に、『近代中国の出産と国家・社会―医師・助産士・接生婆』(研文出版、2011年)など。

鈴木将久(すずき・まさひさ)
東京大学大学院人文社会系研究科教授。中国近現代文学。
主な著作に、『上海モダニズム』(中国文庫、2012年)、『思想史の中の日本と中国』(翻訳、孫歌著、東京大学出版会、2020年)など。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する

ミットフォードとギネス一族の御曹司

ミットフォードとギネス一族の御曹司

  • ジョナサン・ギネス、キャサリン・ギネス(著)、大西俊男(訳)/2023年10月
  • 3300円(本体)/四六判上製200頁
  • 装丁:長田年伸

「全体をまとめた話は個々の話を積み重ねた場合より内容が多くなることもありうるが、同時に簡単にはそのようにならない。ミットフォード家の場合はこれに当てはまる」――
イギリスで1984年にギネス家の父娘が著した伝記から、その曾祖父であるA・B・ミットフォードに関する章を邦訳・抄訳。初代リーズデイル男爵として称され、幕末明治に駐日外交官を務めたミットフォード、および彼と家族関係にある者たちの活動やその逸話を通してうかがえる特徴的なまなざしを描く。
(ISBN 9784861108181)

目次|Contents

訳者まえがき
原著者について
序文
祖父たち
第1章 家族と初期の生活
第2章 外務省
第3章 中国公使館
第4章 日本の夜明け
第5章 世界旅行
第6章 スタンレー家
第7章 工部省
第8章 爵位ある人の人物像
第9章 老後と死
資料(系図1~3)

著者|Authors

ジョナサン・ブライアン・ギネス(Jonathan Guinness)(第3代モイン男爵)
1930年3月16日生。英国の貴族、実業家。ギネス一家の一員。イートン校、オックスフォード大学卒。第2代モイン男爵と最初の妻ダイアナ・ミットフォードの長男。若い頃にジャーナリスト、レオポルト・ジョゼフの銀行家を務める。マンデイ・クラブ会員、マンデイ・クラブの副議長(1990年)。ギネス醸造会社役員(1960-1988)。実業家、銀行家。

キャサリン・イングリッド・ギネス(キャサリン・チャタリス、ニードパス伯爵夫人(1983-1988)、キャサリン・ヘスケス(1990-2004))
1952年6月1日生。英国貴族、作家、社交家、実業家。ギネス一家の一員。若い頃に父親の親友で有名な芸術家、雑誌編集者のアンディ・ウォーホールの個人秘書としてニューヨークで活躍。

訳者|Translator

大西俊男(おおにし・としお)
昭和8(1933)年生。三重県伊勢市出身。国立三重大学学芸学部(現教育学部)卒業。鳥羽商船高等専門学校名誉教授(1997-)、三重県内の高校・元三重大学教員。全国高専英語教育学会会長(第5代)のち同会顧問(1995-)。著書に『ミットフォードと釈尊―イギリス人外交官の見た理想郷日本』(春風社、2017年)、『A・B・ミットフォード』(近代文芸社、1993年)がある。日本英学史学会会員。

この本を注文する

Amazonで注文する Hontoで注文する 楽天ブックスで注文する